家庭菜園をやってみたいけど、どうやって始めるのがいいんだろう?
おそらくこんな疑問を持った人でも土を用意して種をまいて水をやるぐらいのイメージは思い浮かんでいると思います。
家庭菜園の基本はまさにそのイメージ通りで難しいことはありません。それにほんの少しの知識を身につけ、ほんの少しの道具さえ用意すれば家庭菜園は簡単に始めることができます。
ここでは「すぐに家庭菜園を始める」ために極力ムダな情報を省いて、必要最小限の知識と道具をお伝えしていきます。
思い立ったが吉日。コレを読めば初心者の人でもすぐに家庭菜園を始められますヨ。
1.どこで家庭菜園を始めるか
まずはじめに、家庭菜園を始めようと思ったらどこでやるのかを決める必要があります。なぜなら家庭菜園の場所によって準備するものが多少変わってくるからです。
それでは家庭菜園ができる場所とはどんなところがあるでしょうか。
1-1.貸し農園
貸し農園は、主に自治体や農家さん個人で運営する市民向けの畑貸し出しサービスです。居住する地域にもよりますが、貸し出ししている畑の一区画を借りて家庭菜園をすることができます。
家庭菜園でいちばん本格的にできる場所でしょう。地植え栽培と言って直接地面に植えて育てる栽培方法になるので、作れる野菜の制約も少なくいろいろと自由が利きます。おまけに農機具も共有で貸し出ししているところが多いので、道具を買いそろえる必要もありません。
お住まいの地域で「貸し農園」と検索すると、様々な貸し出しサイトが出てくると思います。
1-2.庭
庭は貸し農園ほど広くはありませんが(いや、場合によっては広いかも……)家の敷地内ですので、管理の目が届きやすいという点では貸し農園より楽だと思います。
庭の形状次第で地植え栽培とプランター栽培のどちらも選択できます。プランター栽培とは写真のように鉢植えで栽培する方法です。地植え栽培とちがってコンパクトで手軽に栽培できるのが魅力ですね。
隣接する建物の環境に左右されることがあるかもしれませんが、花と合わせてガーデニングのデザインをしたりもできますし、自由度は比較的高いと言えるでしょう。
1-3.ベランダ(玄関・屋上)
ベランダも家庭菜園を行う場所としてよく使われます。その他に玄関先や屋上でできる住宅もあったりします。これらの場所では主にプランターを使って家庭菜園を行うことになります。
基本的に好きな場所に持ち運びができるので、環境や天候に応じて対処がしやすく、いちばん手軽な場所と言えます。
ただし、集合住宅などでは近隣に対する配慮であったり、日当たりの条件などで制約を受けることが多く、育てる野菜に限りが出てくることもあります。また、大きな野菜もプランターでは育てにくいので不向きとされています。
それでも初めて家庭菜園を始める初心者にとって、ベランダはうってつけの場所と言えるでしょう。
こちらではベランダ菜園について詳しく解説してますので、ぜひ参考にしてみてください。
1-4.室内
野菜によっては外に出さずに室内で育てられるものもあります。
貸し農園が借りられず、庭やベランダがない方でも、窓際やキッチンで家庭菜園を楽しむこともできます。
室内ではごく小規模な家庭菜園となり、人によっては物足りないと思うかもしれません。
ですが手っ取り早く育てて収穫を経験してみたい人には室内での家庭菜園もおすすめできます。
室内菜園の方法はこちらで詳しく解説しています。ぜひご覧になってください。
2.どんな野菜を育てるか
さて家庭菜園の最大の楽しみと言えば「何を育てるか」ではないでしょうか。すでに育てたい野菜のイメージを持っている人もいるかと思います。
ただ野菜づくりにも難易度があります。初心者がいきなり難易度の高い野菜に取りかかっても、収穫までたどり着けず挫折して可能性が高いでしょう。やはり始めるからには収穫体験を味わいたい。そうして楽しみたいものですよね。
そこでまずおすすめするのは育てやすい野菜ということになります。
では育てやすい野菜とはいったいどんなものでしょう。
やはりなんと言っても収穫までの期間が短いものが、初心者にはいちばんおすすめだと考えます。手間が短くてすみますし、成功体験を得やすいと思います。
そして、暑さや寒さに強く生育できる気温の幅が広い野菜は急激な天候の変化によく耐えますので、これも育てやすさのポイントとなるでしょう。
さらには病気や害虫に対しても耐性のある野菜は、被害を受けにくいので育てやすい野菜と言えます。
これらの野菜はどれも収穫までが早く、初心者にはおすすめの野菜です。
初心者向けにおすすめの野菜を詳しく紹介したものはこちらの記事に書いてありますので、参考にしてみてください。
3.家庭菜園を始めるのにどんな準備が必要か
家庭菜園を行う場所と育てたい野菜が決まったら栽培のための準備に入ります。
1.どこで家庭菜園を始めるかで触れましたが、栽培方法には地植え栽培とプランター栽培とがあります。このどちらかを選択するかによって準備の仕方が多少変わってきます。
まずどちらにも共通する、最低限必要なものをお伝えしていきましょう。
3-1.種・苗
言うまでもありませんが、育てたい野菜の種を用意します。
ただし、種を購入する際には気をつけなければならないことがあります。
それは鮮度の良いものを選ぶということです。
「種にも鮮度なんてあるの?」と思うかもしれませんが、実はあるんです。
園芸用品店などで売場に並んでいる種の袋の裏を見ますと、有効期限が書かれています。有効期限の切れているものが並んでいるなんてことはないでしょうが、なるべく期限まで長いものを選ぶ方が良いです。なぜかと言いますと、種も時間の経過とともに劣化していきます。そうなると発芽不良を起こす可能性が高くなりうまく育てることができません。ですので有効期限までが長いものを選ぶのがポイントです。
種の代わりに苗から始めるパターンもあります。
苗の場合ですと、見た目に元気なものを選ぶことが大切です。葉の緑色が濃く茎がしっかりとしているものです。葉の色が黄色がかっていたり、虫食いや斑点があったり、茎がひょろひょろして細いものはうまく育ちませんので、そういうものは選ばないようにしっかり観察しましょう。
3-2.培養土
培養土とは植物を育てる目的で作られた栄養分の豊富な土のことを言います。
それぞれ野菜には、育つのに必要な栄養素や、育ちやすい土の性質が異なります。育てる野菜の目的に合わせて土を作ることもできますし、あらかじめ必要な栄養分が配合されている市販の物を購入して始めることもできます。
市販されている物には、いろんな野菜に広く対応した万能型の物から、それぞれの野菜に特化した専用型の物まであります。特にプランター栽培から始める初心者の人には、市販の培養土を購入してそのまま使った方が始めやすいと思います。
地植え栽培から始める人には、使う畑の土が持つ成分を調べる必要が出てきます。それに応じて土を改良してから始めることになるでしょう。
3-3.じょうろ
水やりに不可欠な道具がじょうろです。
じょうろの先端にはハス口というシャワータイプの形状と、細口という水差しタイプ形状があります。
ハス口タイプは広範囲に均一な水やりができて、地植え栽培や大きなプランターに向いています。一方細口タイプはピンポイントな水やりができて周囲にこぼれないので、室内での栽培や小型のプランターに向いています。
先端が取り外しの出来る2Wayタイプのじょうろもありますので、そちらを用意するのがおすすめです。
さて次にプランター栽培で最低限用意しておくものをお伝えしていきます。
3-4.プランター
こちらも言うまでもない、プランター栽培のマストアイテムですね。ベランダや庭、室内など多くの場所で活躍します。
一口にプランターと言ってもさまざまな種類があり、家庭菜園を行う場所のスペースや育てる野菜によって選ぶものが変わってきます。大きさのちがいから材質のちがいまで、目的に応じた形でプランターを選ぶことになります。
こちらではプランターの選び方について詳しく解説していますので、ぜひ読んでみてください。
3-5.移植ごて
移植ごてとは園芸用の小さなシャベルのことです。培養土をプランターに入れたり、掘り起こしたり、苗を移植したりするのに役立ちます。
移植ごてもサイズや形状、材質など多様な種類があります。目的に合うものや使いやすさ、お気に入りのデザインなど好みに合わせて選ぶとよいでしょう。
最後に地植え栽培で必要なものお伝えしましょう。
3-6.シャベル
シャベルは地植え栽培で必要な道具になります。主に培養土の運搬に使われます。
3-7.鍬
地植え栽培に欠かせない道具で土を掘り起こして耕すのに使います。
野菜の成長にともない必要な道具が出てきますし、家庭菜園に慣れてきたら便利な道具もたくさんあります。ですがここではあくまで家庭菜園を始めるに最低限必要なものとしてお伝えしてきました。
他の道具に関しましては、栽培しながら徐々に買い揃えていけばよいと思います。
4.超絶おすすめ! 初心者がすぐに始められる栽培キット
これから家庭菜園を始める初心者向けに、プランター栽培でおすすめのものがあります。それが栽培キットというものです。
栽培キットは種、土、プランターがセットになっていて、水を与えるだけですぐに始めることができます。
価格も手ごろですし、場所も取りません。土も育てる野菜に合わせたものが入っているので、選ぶ手間も省けます。家庭菜園に取り組んだことのないまったく初めての人は、栽培キットから始めるのがおすすめです。
以下に栽培キットを販売しているメーカーをご紹介します。
4-1.聖新陶芸株式会社
聖新陶芸株式会社は栽培キットに特化したメーカーで、種類も豊富です。プランターも土に還る素材を開発し、環境保護の面でも工夫がされています。
中には説明書も入っていますので、これひとつで完結できてしまいます。
「なんでもいいから、とりあえず始めてみたい」
そんな方にはうってつけです。
4-2.DCM株式会社
DCM株式会社は園芸用品を幅広く扱っているメーカーで、「超簡単! 栽培セット」シリーズで栽培キットが出ています。すべての商品が品切れだったため、現在は試すことができませんでした。販売されたら試してみようと思います。
5.家庭菜園の基本的な作業
さて準備が整いましたら、家庭菜園で行う作業をお伝えしていきます。
ここではどの野菜においても必要な共通の作業だけに絞っていきたいと思います。
基本的な作業は以下のようになります。
5-1.土を準備する
はじめに育てる野菜に応じた培養土を準備します。
地植え栽培なら畑に、プランター栽培ならプランターに必要な分だけの土を用意します。
培養土でも先述しましたが、地植えは畑の土の性質を調べて調整し、プランターは市販の培養土をそのまま使えばよいと思います。
5-2.種をまく/苗を植える
土の準備ができたら種をまくか苗を植えます。
種まきは育てる野菜によってまき方が変わります。また種をまいた後の土のかぶせ方も微妙に異なってきます。まき方を間違えるとうまく発芽しなくなりますので注意しましょう。
苗を植えるときも、植える深さや土のかぶせ具合に注意が必要です。
5-3.水をやる
水やりの基本は表面の土が乾いてから与えることです。
人と同じで野菜の生育に水分は欠かせませんが、かと言ってやり過ぎると根が溺れてしまい根腐れを起こしてしまいます。ですので、土の表面が乾いたときが水やりの目安となります。
地植え栽培でしたら土の量が多い分だけ乾きにくく、さらに雨が降れば水やりをする必要はありません。逆にプランター栽培ですと土の量が少ない分だけ乾きやすくなるので、こまめに水やりをすることになります。
また季節によってその頻度も変わってきます。暑い時期でしたらすぐに乾くのでそのつど水やりが必要ですが、寒い時期なら土は乾きにくいのでそれほど水やりをする必要はありません。
5-4.間引きをする
間引きとは発芽したものを取り除く作業のことを言います。
なぜ取り除くのかと言いますと、まいた種の中には発芽しても葉の形が悪かったり、色が黄色かったり、生育が遅かったりなど、うまく育っていかないものが出てきます。そうした芽を取り除くことで、残った芽が成長していくためのスペースを確保し、栄養を集中させるという意味を持ちます。
間引きの頻度は成長に応じて2、3回行うのが目安となります。
5-5.追肥をする
追肥とは野菜の生育の途中で肥料を与えて成長を促す作業になります。
種まきや苗植えのときに土は必要な分だけの肥料を含んでいますが、その栄養分は野菜の成長のために使われるので次第に失われていきます。そのままにしておくと栄養不足で病気になったり、成長が止まって収穫まで育たなくなります。
そうした栄養不足にならないようにするために追肥は大切な作業になります。
追肥の仕方にもタイミングや追加する量などに気をつけなければなりません。
5-6.収穫をする
野菜の形がしっかりと整ったら待ちに待った収穫です。
収穫も野菜によってタイミングがありますので、見逃さないようにしましょう。野菜によっては大きくなり過ぎて味が落ちたり、固くなって食感が悪くなったりします。
また収穫の際には、まだ成長途中の野菜を傷つけないように注意しましょう。
まとめ
すぐに始められるようにできるだけ情報を絞り、必要最低限にとどめました。
初心者におすすめなのが、まず栽培キットで始めてみるのがよいのではないかと思います。必要な物や知識は後から備えていっても問題ありません。
もちろん道具は自分でお気に入りのものを選びたいというのも、家庭菜園を始める楽しみのひとつでしょう。自分に合った楽しみ方をしていくのがいちばんだと思います。
さぁ家庭菜園ライフの始まりです! 思う存分楽しみましょう!