家庭菜園を始めてみたいけど、何を育てたらいいんだろう?
初心者でもできるおすすめの野菜って何?
家庭菜園を始めようと思ったとき、真っ先に頭に浮かぶのはこうした「どんな野菜を育てられるのか?」ではないでしょうか。
初めて家庭菜園を体験するうえで何よりも望むのは「収穫する喜びを味わう」ことではないか思います。その醍醐味がなければやってても面白くないですよね。
そこでこの記事では、これから家庭菜園を始める初心者に向けて育てやすいおすすめの野菜を紹介していきます。
育てやすさにもいろいろ理由があります。その理由を知っておけば、栽培時に大いに役に立つでしょう。分かりやすいように詳しく解説していきますね。
それでは参りましょう!
1.初心者にとっての育てやすい野菜とは?
これからおすすめする野菜は、初心者にとって育てやすいことを第一条件としています。
それでは育てやすい野菜とはいったいどのようなものを言うのでしょうか。
1-1.栽培期間が短い
育てやすい野菜のいちばんのポイントは、栽培期間が短くすぐに収穫ができるものです。
やはり栽培期間が長いと手間がかかります。天候不順や虫喰い、病気などのリスクが高まり収穫まで辿り着けないなんてことも多くあります。そうなれば、せっかく始めた家庭菜園もイヤになってしまいますよね。
これから家庭菜園を始める人にとって大切なのは、いかに楽しいと思えるかということです。野菜がグングン成長して変化していけば楽しいですよね。収穫して食べることができればもっと楽しいです。そうすればまた次に何を育てようかと、さらに楽しみが増えていきます。
ですのでこうした家庭菜園を楽しむサイクルを作るためにも、栽培期間の短い野菜に取り組んですぐに収穫ができてしまうことが初心者にとって非常に大切な要素だと思います。
1-2.暑さや寒さに強い
野菜にはそれぞれ育つのに最適な温度があります。これを生育適温と言いますが、生育適温の幅が広いものは育てやすい野菜と言えます。
たとえば15℃~25℃で育つものと15℃~30℃で育つものとどっちが育てやすいかと言えば、急に気温が上がっても育ってくれる後者の方が育てやすいということになります。気温が低くても同じようなことが言えるでしょう。
ただし、それなりに耐暑性や耐寒性を備えた野菜でも極端に暑かったり寒かったりすれば育ちは悪くなります。特に近年は極寒猛暑が著しいですね。その場合は遮光して日陰を作ったり、ハウス栽培で室温を上げたりなどの対処をすれば、また順調に成長していくと思います。
1-3.病気や害虫の被害を受けにくい
野菜も自然物であるが故に、虫に食べられたり、卵を産みつけられたりします。また、風通しの悪いところや湿気の溜まりやすい場所では細菌による病気にもかかります。
自然物である以上、多くの野菜はこうした被害を受けるものです。
しかし、中には虫が嫌うような匂いを備えた野菜もあります。こうした野菜は虫を寄せつけない特性を持つので、害虫対策の手間がない分だけ育てやすい野菜と言えるでしょう。
2.初めて家庭菜園をする初心者におすすめの野菜
それでは上記の性質を持った野菜をまとめたものをこれからお伝えしていきます。
まず便宜上、野菜を以下のように大きく分類します。
このように分類したのには理由があります。
先ほども述べましたが、野菜には生育に適した温度があります。つまり適した季節ですね。せっかく家庭菜園を始めても、気温や季節に合わないものに取りかかってしまえば上手く育ってはくれません。
ですから、どんな時期でもすぐに取り掛かれるように幅広く野菜を紹介したいのです。
こうして分類すると性質の似た野菜がまとまるので、非常に選びやすいと思います。
それでは分類別におすすめ野菜を紹介していきましょう。
2-1.葉もの野菜
主に葉っぱや茎を食用とする野菜です。
葉もの野菜は主に冷涼な環境を好むものが多いです。春先から夏、もしくは夏の終りから冬の時期がいちばん生育に適しています。比較的寒さに強い性質を持っているので、冬にかけての方がより育てやすいかもしれません。
また日照時間も4~5時間ほどで育つので、それほど日当たりを要する環境下に置かなくても大丈夫です。
コマツナ
コマツナは葉もの野菜の中でも特に暑さ寒さの耐性がある野菜です。20℃~25℃がもっとも成長に適した気温ですが、生育適温が広いのでほぼ通年を通して栽培できます。
栽培期間も短いので、初めて家庭菜園をする人にうってつけの野菜だと思います。
真夏の30℃を超えるような日と真冬の氷点下近くになる日だけ避ければ、比較的かんたんに育てることができるのでイチオシです。
リーフレタス
リーフレタスとは縮れた葉が上に開いていくタイプのレタスで、結球する玉型のレタスではありません。これを間違えるとエライことになります。玉レタスの方が難しくなってしまうので、リーフレタスを選んでください。
リーフレタスはサニーレタスやグリーンリーフ、ガーデンレタスと言った品名であります。
初心者向けの野菜の中で際立つ特徴と言えば、一部の虫を寄せつけない性質を持っていることです。
リーフレタスの属するキク科の植物は、特定の虫が嫌う香りを発する性質があります。リーフレタスはそれほど強い香りを放つ野菜ではないですが、確かにその性質を持っているようです。
決して「すべての虫を寄せつけない」「害虫の被害をまったく受けない」というわけではありません。ですが他の野菜に比べれば耐虫性を備えているので比較的育てやすいでしょう。
ミズナ
ミズナも生育適温が比較的広いのでほぼ一年を通して栽培できる野菜です。どちらかと言うと寒さに強いので、旬の季節である冬の収穫に向けて秋に種をまくのがおすすめです。
栽培期間も短いですし、育てやすさの点で言えばコマツナとそれほど変わりません。コマツナに肩を並べるぐらい育てやすい野菜と言えます。
2-2.実もの野菜
主に実を食用とする野菜です。
実もの野菜は主に高温期によく育つ傾向にあります。実を太らせるために多くの日照時間と栽培期間が必要となります。葉もの野菜と比べると収穫までに時間がかかるものが多いですが、その中でも上記の3品目は2ヶ月前後で収穫できます。
季節としては春の終りから夏にかけて育つものが多いので、その時期から始める人向けのおすすめ野菜です。
インゲン
インゲンは実もの野菜の中でもとりわけ栽培期間が短い野菜です。
「つるあり種」と「つるなし種」の2種類の種がありますが、「つるなし種」の方が手間もかからず収穫までが早いです。
またインゲンの生育に必要となる支柱も「つるなし種」は短くて済むので、コンパクトで場所を取りません。
オクラ
オクラも実もの野菜の中では比較的栽培期間が短い野菜です。
高温に強いのが特徴で生育適温も広く育てやすく、夏に家庭菜園を始めるなら取り組みやすい野菜と言えるでしょう。
キュウリ
キュウリもまた夏野菜の中では栽培期間の短い野菜です。
生育適温の幅は広めですが、どちらかと言えば涼しめの気候を好みます。春から初夏にかけて始めるのがいちばん適した季節となります。
2-3.根もの野菜
主に根っこを食用とする野菜です。
根もの野菜も葉もの野菜と似たような特徴を持ち、涼しい気候を好みます。そのため春先から初夏、もしくは秋口から冬がいちばん栽培に適した時期になります。
特にラディッシュやコカブといった根もの野菜は寒さに強いので、旬の季節である冬の収穫に向けて秋頃から始めるのが良いでしょう。
ラディッシュ
別名「二十日ダイコン」という名の通り、野菜の中でも随一の栽培期間の短さを誇ります。
生育適温も幅が広いですが、どちらかというと冷涼な気候を好む野菜です。カラフルな色のものや細長い形のものなどバリエーションもあって面白いです。
小型の野菜で場所もとらないので、手軽に家庭菜園を始めたいという人にはこれ以上ないイチオシ野菜です。
コカブ
カブは比較的栽培期間が短いですが、その中でもコカブはとりわけ短いので育てやすい野菜としておすすめです。
耐寒性に優れていて、特に秋頃に種をまいて栽培すると虫もつきにくいです。もちろん春先でも栽培できますが、初心者にとってより育てやすい季節は秋の方だと言えるでしょう。
ジャガイモ
イモ類の中でいちばん栽培期間が短いのがジャガイモ。
ジャガイモも冷涼な気候を好みます。ただし、耐暑性や耐寒性はそれほど強くはありませんので、過ごしやすい季節に栽培する野菜です。
それでも栽培期間が短いわりに収穫量が多いので、収穫時が楽しみな野菜でもあります。
2-4.芽もの野菜
主に新芽を食用とする野菜です。
ここに分類される野菜は、家庭菜園というイメージがあまりないかもしれません。ですが初心者にとってこれほど始めやすい野菜はないでしょう。
芽もの野菜の際立った特徴は栽培期間がずば抜けて短いことです。およそ7~10日で収穫ができてしまいます。それに加えて室内で栽培できるので、手軽さにおいても群を抜いています。
気軽に始めてみたい人やベランダでやれない人には、芽もの野菜から始めるのも良いのではないでしょうか。
ブロッコリースプラウト
ブロッコリースプラウトとはブロッコリーの若芽ことで、栄養価が高くて人気の野菜です。
ただし、若芽だからと言ってブロッコリーの種から若芽を収穫してはいけません。ブロッコリースプラウトはそれ専用の種としてあるのでそちらで栽培しましょう。
ブロッコリーとブロッコリースプラウトでは種にちがいがあります。ブロッコリーの種で育てても発芽率が悪かったり、ブロッコリースプラウトに含まれる栄養価が劣っていたりするのでおすすめできません。
専用の種と水耕栽培用のトレイや瓶を使えば簡単に育てられます。
大豆モヤシ
別名「姫大豆」とも言われています。ナムルの材料で使われているのを見たことありませんか? アレです。
これも適切な水の管理に気を付けるだけで簡単に育てることができます。
ふつうのモヤシと比べてもタンパク質を多く含む上にうまみ成分も豊富なので、栄養価の高い野菜としてもおすすめです。
アルファルファ
糸モヤシと言ってシャキシャキ食感がおいしい野菜です。
これも他の芽もの野菜と同様、水の管理を適切に行えば7~10日で収穫ができてしまいます。
2-5.ハーブ
主に香辛料として使われる野菜です。
ハーブも初めて家庭菜園をする人にとって育てやすいものが多いです。
ここにおける栽培期間は苗から植えつけることを前提としています。種から栽培すると逆に成長するまでにかなりの時間を要するので、初心者には苗から育てることをおすすめします。
ハーブの際立った特徴は、何と言っても生育適温の幅の広さであると言えます。
芽もの野菜と同様、室内でも栽培が可能なので手軽にできますし、インテリアグリーンとしての役割も果たしてくれます。
ローズマリー
耐暑性・耐寒性に非常に優れた植物で、どの場所においても通年栽培が可能です。一度植えれば長期間に渡って収穫が楽しめます。
その上、乾燥した環境を好み肥料もそれほど必要としないので、手間もあまりかかりません。
種からの栽培は難しいとされているので、初心者には苗から育てた方が良いと思います。
タイム
比較的暑さ寒さには強く、とりわけ耐寒性に優れています。
さらにはハーブの中でも特に病害虫に強いのが特徴です。虫が嫌う香りを放ったり、殺菌成分を含んでいたりします。その殺菌効果から、他の野菜と合わせて栽培すると減農薬に貢献できる側面もあるので重宝される植物です。
ただし湿気に弱く乾燥した環境を好むので、多湿な環境だと生育が悪くなったり病気になったりすることもあります。
湿度管理にさえ気をつければ、育てやすい植物と言えるでしょう。
ミント
ミントの最大の特徴は旺盛な繁殖力です。とても成長が早いため収穫までの期間は短いですが、放っておくとどんどん繁殖するので適切に剪定して管理する必要があります。
ローズマリー・タイムほど病害虫には強くありませんが、それでも他のハーブに比べると比較的病害虫に強い部類に入ります。
ミントはオレンジミントやアップルミント、パイナップルミントなどフルーティな香りを持つ種類もあるので、いろんな香りを楽しむことができます。
3.まとめ
以上、初心者におすすめの育てやすい野菜をご紹介しました。
栽培期間はあくまで目安となります。昨今は猛暑が長引いている傾向にあるので必ずしもカレンダー通りとはいきません。お住まいの地域の気象環境に合わせて始めてみてください。