家庭菜園に興味を持って始めようと思うんですが、室内しかやれる場所がないんです。室内でも育てられる野菜ってあるんでしょうか?
今すぐ家庭菜園を始めたいけれど、庭もベランダもなく室内でしかできない。
実はこれから家庭菜園を始めようとする初心者の中で、こうした環境下の人は意外に多いです。そして、家庭菜園は外で行うイメージが強いせいか、庭もない。ベランダもない。貸し農園も借りられない。となると、そのまま諦めてしまう人も多いのです。もったいないことです。
大丈夫です。室内でも育てられる野菜はありますし、工夫次第でちゃんと育つような方法も確立されています。
ここでは室内でどんな野菜が育てられるのかをお伝えし、室内での栽培の仕方や成功させるポイントまで解説していきたいと思います。
それでは参りましょう!
1.室内でも育てられる野菜とは
まず最初に気になるのは「何が育てられるのか?」ですよね。
基本的に室内という場所はスペースを大きく使えないことがほとんどなので、小型のプランターで育てるようなイメージになります。そうなると当然ですが大きな野菜は難しくなります。そのうえ日照時間の制限も受けやすいので、育てられる野菜も限られてきます。
それでは室内栽培に適した野菜とはいったいどんなものがあるのでしょうか。
1-1.葉もの野菜
まず一つ目に、葉もの野菜では以下のようなものを室内で育てることができます。
- コマツナ
- リーフレタス
- 水菜
- ホウレンソウ
- ルッコラ
- ミツバ
これらの野菜は小型で場所を取らず、室内でも比較的育てやすいものになります。
葉もの野菜の多くは半陰性植物といって、3~4時間ぐらいの日光を浴びれば順調に育つとされています。そのため、それほど多くの日照時間を必要としないので室内でも育てられる野菜の種類は比較的多いと言えるでしょう。
1-2.実もの野菜
二つ目は実もの野菜です。
- インゲン
- エダマメ
- イチゴ
実もの野菜の多くは陽性植物という、日光を6時間以上浴びる必要があるとされる植物です。ですので、室内でもそれだけ日当たりが良いことが条件になります。
それに加えて、深型のプランターが必要だったり、株が伸びて高くなってしまうものも多いので、小ぢんまりと育てられる物はかなり限られてきます。室内に適しているものといえば、上記の三つぐらいでしょうか。
1-3.根もの野菜
三つ目に根もの野菜です。
- ラディッシュ
- コカブ
- ミニニンジン
根もの野菜も深さを必要とするものが多いので、室内で育てられるものとなるとかなり限られてきます。
上記のものでしたらそれほど場所を取りませんし、とりわけラディッシュは初心者でも育てやすくおすすめです。
1-4.ハーブ
四つ目はハーブです。
室内の家庭菜園に適しているハーブは以下の通りです。
- ミント
- バジル
- イタリアンパセリ
- ローズマリー
- セルフィーユ
- レモンバーム
屋内緑化として室内に置いている人も多く、室内菜園でも人気があります。土栽培でも水耕栽培でもできますし、中でもミント・バジル・イタリアンパセリは半陰性植物なので、室内によく適しています。
1-5.芽もの野菜
最後に芽もの野菜です。主にスプラウトという若い芽を食する野菜です。
芽もの野菜には以下のようなものがあります。
- ブロッコリースプラウト
- カイワレダイコン
- 豆苗
- 豆モヤシ
- 緑豆
- アルファルファ
実は室内の家庭菜園でもっとも成功率が高いのが芽もの野菜になります。
特徴としては極めて短期間で収穫ができてしまうので、初心者にはうってつけの野菜です。水耕栽培で育てるのがほとんどで、基本的に日常的な水の管理と適切な温度管理ができていれば7~10日ほどで収穫ができます。そして手軽なわりに栄養価も高いので、健康志向の強い人にも人気の野菜なのです。
芽もの野菜を育てる場合はスプラウト専用の種がありますので、それを使って育てるようにしましょう。
専用の種には発芽をしやすいように処理をしてあります。さらには通常なら品質保持のために種に消毒剤を施すのですが、スプラウト専用の種は発芽してすぐ口に含むため安全の観点から品質保持のための消毒がされていません。ですから一般的な野菜の種から育てると、うまく発芽をしなかったり芽に消毒剤が残ったりしますので、かならず専用の種から育てるようにしましょう。
2.室内での栽培の仕方
さてここからは室内での栽培方法について解説していきたいと思います。
家庭菜園は土耕栽培が一般的ですが、室内で育てる場合は水耕栽培が選択肢に入ってきます。水耕栽培とは、培養土の代わりに水に液体肥料を混ぜた培養液を使って野菜を育てていく方法です。
土耕と水耕には、栽培の土台が土か水のちがいのほかに特徴があります。それぞれ一長一短があってどちらが良いというものではありません。その特徴を知っておけば、自分の性格や生活環境に合わせて栽培方法を選ぶこともできるようになります。選択の幅が広がって、さらに家庭菜園が楽しいものになると思います。
それではそれぞれのメリット・デメリットを挙げながら、その特徴を解説していきましょう。
2-1.土耕栽培
- 初期投資が少ない
- 野菜の味わいが豊か
- 病害虫のリスクがある
- 室内の衛生面を損なう恐れがある
土耕栽培は土に多くの微生物を含んでいます。そのため土壌由来の病害虫が土に潜んでいる可能性があります。室内環境は意識的に換気を行わないと空気が滞留するため、そうした病原菌の繁殖に繋がりやすくなります。室内での土耕栽培では特に気をつけておくべき点と言えるでしょう。
ただし土で育ったものの多くは味が濃く、食味が良い傾向にあります。たとえばハーブでも水耕より、土耕で育てたものの方が香りが強く、品質が高いように思います。
2-2.水耕栽培
- 成長が早い
- 病害虫のリスクが低い
- まともに設備を整えるとコストがかかる
- 根もの野菜などの大型野菜には不向き
大きなメリットのひとつに、成長の早さが挙げられます。
水耕栽培の場合、植物の根が培養液に浸かるような状態になります。培養土に比べると根が直接的に栄養分を摂取するので効率が良く、株の成長を大きく促します。また根が自由に伸びていくので表面積も大きくなり、吸収率も高まっていくのです。
もうひとつのメリットは、病害虫のリスクが少ないため虫も発生しにくく衛生的と言えます。虫の発生が抑えられれば農薬も必要ありませんので、安全な野菜づくりを楽しむことができます。
デメリットと言えば、揃える設備によってコストがかかってしまう点でしょうか。
水耕栽培は環境を整えるほどに成功率は高くなりますが、費用が高額になります。循環型ポンプやLED照明といった機材がその例になります。そのうえ、運転する電気代もかかってきます。
ただし身のまわりにある材料に工夫を加えるだけの方法もあります。まずそちらから試すのがよいでしょう。水の管理さえこまめに行えば、それで十分なことが多いです。
3.室内での家庭菜園を成功させるポイント
室内で育てられると言いましても、野菜にとって生育環境が整っていないとうまく育ちません。適切な管理をすることは屋外でも屋内でも同じです。
それでは室内での家庭菜園を成功させるためのポイントは何でしょうか。
3-1.光源の確保
まず野菜の成長の源である日光です。
室内の家庭菜園でデメリットになりやすいのが日照時間です。家の壁や近隣の建物など、日光を遮るものが多いと日照時間も限られてしまいます。育てる野菜に適した日照時間が確保できないと、徒長(幼芽が伸びて生育しない)の原因となるでしょう。
十分に日光が射しこめば問題はありませんが、ない場合は菜園用のLEDライトがその代わりを担います。
菜園用のLEDライトは可能な限り日光に近い光を放つように設計されています。値段はピンからキリまでありますが、光源不足に悩む人には役立つアイテムのひとつです。
3-2.気温と湿度の管理
次に気温と湿度の管理になります。
室内空間は私たちが生活する場所でもあるので、屋外よりは快適な環境にしやすいかもしれません。
多くの野菜の生育適温は人が快適に感じる気温と大差はありません。やはりそこは生き物としての共通項ですね。
湿度に関しましても極端な乾燥や多湿は人にとっても不愉快ですので、そこも適切に管理をしていれば野菜にとっても快適な環境になります。
3-3.培養液の管理
水耕栽培においては培養液も適切に管理することが必要です。
根は日々呼吸を行っているため、浸かっている培養液も不純物を含むようになります。根の健康のために水替えをこまめに行いましょう。
また水の交換の際には容器の方も洗って清潔にしておくことも大事です。そのままにするとぬめりが出てカビや藻が発生しやすくなります。根に悪影響ですので、容器を清潔にすることも忘れずに育てていきましょう。
まとめ
室内は栽培スペースの狭さから、小型の野菜に絞られてきます。大がかりな準備を必要としないので初心者が家庭菜園を始めるのに最適な場所とも言えます。
また、外気と比べて室温調整もしやすいのでどの野菜でも比較的育てやすいでしょう。特に芽もの野菜は収穫までが早くて取りかかりやすいので、ぜひ挑戦してみてください。
芽もの・ハーブ・葉ものは室内で育てるなら水耕栽培もおすすめです。温度・湿度管理に気を付けて、こまめに水の入れ替えなどのメンテナンスをすることが大切になります。
どうしても日照時間が確保できない場合は、生活に無理のない程度で育成用LEDを導入してみるのがよいかもしれません。